福島交通 飯坂東線 桑折~保原、掛田~川俣間の廃止
2024.06.17 Ver1.06
念のため:役所に提出した書類・図面ですので、現場との相違は良くある。が前提です
※一部書類は省スペースにするため、判子(決裁判)欄等を切り取っています
S02.03.01付 掛田~川俣間、保原~桑折間の運輸営業一部休止許可申請が出された
S02.04.09付 で一部休止許可
S02.07.11付 掛田~川俣間、保原~桑折間の運輸営業廃止申請

【廃止理由書の記述概要】※上記文書の赤鉛筆部分はお役人の記載・・・
1 掛田~川俣間
掛田~川俣間はT15.03.省線川俣線開通以来、営業成績が退廃しそのまま推移すると、全く自滅の他無く、その実情は当社においては地方の産業と文化の為、該線存続に百万計画を巡らし一縷の活路を打開セント苦心焦慮を重ねたるも到底見込みが相立ず、遂に総会にて廃線の決議をしたもの。
この区間に対しては廃線に換わる自動車運輸を兼営し沿道民衆の必要程度に順応する交通機関の設備を着々と具体化しつつアリ、廃線のため全く交通の不便を感ずるようなことは絶対に無いものと信じています

2 保原~桑折間
この区間は従来から業績不振で欠損に欠損を重ねつつ、営業を継続してきましたが、折しも「郡制」の廃止に逢着するや郡制の中心の桑折町(旧郡所在地)と郡内各町村との交渉来往頓が廃絶し,この区間の交通機関は全く意義を失い、経済価値がほとんど皆無と言っても過言で無い状況
時代の推移にしてその後桑折町との交通派路は長岡経由が最も至便となって人貨の交通、日に繁く、世論は既に長岡~桑折間の交通機関を要望しつつあり、当社は夙に此所に三思を凝らし保原~桑折間の廃線に換わる長岡~桑折線を以て実際利便の要求に順応したい。
既に本年二月七日にて(長岡~桑折)は申請中で近々御許可をいただけるもの考えています
是非、保原~桑折間を廃線いたしたく、ここに至るまでは自然の流れ、時勢の推移と弊社線大部分は電化が完成し、世論は既に保原~桑折間に対する交通機関の要求を捨て自他共にその経済価値を失うに至れり

とある 
S02.10.29 掛田~川俣間、保原~桑折間の廃止が許可されたが、福島県知事宛に廃止実施したら報告するようにと通牒が発せられた。廃止許可起案文には
掛田~川俣間 省川俣線開通の為、営業成績激減
保原~桑折間 桑折が郡制廃止のため桑折~保原の往来が激減
なお、長岡~桑折線を出願中に付、今回本区間を廃止する
添え書きで 申請区間は運輸休止中、長岡~桑折線は特許案伺い中
とある
 
↑廃止区間の略図
掛田~川俣間は圧倒的な輸送力を持つ省線川俣線が開通したら、つい先日(ツーか老人の時間の数え方)廃線になった如き、京福勝山~大野間と同じ状況
しかし、省川俣線も大赤字で戦中は不要不急で、線路が剥がされた時期があって不遇を囲っていた
東北本線の接続も松川では福島に出るのに乗り換えになって不便この上なかったのではないか?
762mmのSLがナンダサカ!コンナサカ!とブラスト響かせて走る状況は、のどかどころでは無いような
※店主は西武山口線の緩い勾配で「ナンダサカ! コンナアサカ!」のブラストを生聴きしました
一方の保原~桑折間は行政としての機能が廃止され、お役人がこぞって異動、関連する商業は移転できない者はそのまま廃れていったのではと思われる。国鉄民営化で各地にあった機関区や鉄道工場の統廃合で地域がすっからかんになってしまったのと同じ。
昨今の事例では某製鉄会社が閉めたり、縮小したりで労働集約形の地域は真っ青になっているし。
もっとも人口が大減少中の現在、あと50年したらお国自体が?? 
 長岡←→桑折の路線特許
保原~桑折間の廃止の条件に長岡~桑折の路線建設を
申請していたので、特許がS02.11.19付で認可された
特許工事申請はS03.07.15迄にするように
T14.12.1~T15.05.31間の各線の営業収入
会社作製だが廃止2線の収入が1桁台と極端に少ない
※保原~月舘~川俣で区間を分けられている。これで1/2になる
保原から路線末端の梁川、掛田もやはり少ない
↑道路の使用許可と使用区間
国道4号線2区間、府県道2区間
↑特許申請書
許可になったら在来の保原~桑折間(休止中)は廃線撤去と記載 
↑↓是非とも御解読くださいませ。
涙もんかどうかは読んだ方の感性で
↑↓福島交通と打ち合わせて作成した
証拠は無いけど、まぁ、当たり前
正本には地域の長の連判が押されている
地方の連帯を示す文案に郷愁を感じる店主 
 ======保原~桑折・掛田~川俣間の廃止実施届=====
 ↑廃止認可のお約束でS02.12.26付けで
本日より実施と運輸営業廃止届が出された
 ↑(新?)桑折線の工事施工届が出ていない時期の第一次電化、改軌終了後の線路図
762mm桑折線は大正11年4月17日から昭和2年4月8日
(4月9日休止認可)までのたった5年間の営業だった
悲劇?のSL桑折線と川俣方面 (この地図には記載なし)
保原手前で長岡←→保原線に合流する形だが、電化直前で休止したのだろう 
 =====免許は取得したけどやっぱり・・・=====
  ↑施工認可期限延伸申請
↑左:申請書で2カ年延長の申請があったが、管轄省間で合議の際、「用地買収困難」は(理由として)妥当ならず、要は資金関係と認めるので、2カ年は永き(長きが正当??)に失するので1年に短縮すべし(内務省)で1年の延長となった 
 さぁ~、ここから施工期限の延長バトル開始
↑右:起業目論見書事項一部変更認可申請書 S05.01.15付
   工事施工認可書はS04.07.13付けで期限内に提出していると。※既に着工申請すべき時点から2年
↑中央:変更の内容詳細※面倒なので店主は解読しません
↑左:申請の理由書 人家連擔(密集)で買収移転は価格(買収資金)も必要で路線を(若干)変更
↑右:S06.03.10付け照会※経年劣化で文字が極薄くなっている。
やんわりやわやわ紫色に褪色している部分を赤字で書き出しました
↑左:照会を受けたけどS04.07.13に工事施工認可申請を提出したよ~
 昨年(S05)3月29日付で起業目論見書一部変更出願もしてるよ~。 
  ↑↓起業目論見書記載の経由地一部変更
  ※鉄道省の書庫が火災で焼失し、急遽、内務省(軌道)に提出され、保管されている同じ書類で審査
ついては「至急再製して提出セシメラレタシ」と自分の所管にも再度保管しないとイケナイので、役所らしい上から目線の御宣託が現地監督者の福島県知事に発せられ、福島県は福島交通にすぐ複製しろ!と言ったのかどうかは不明だが、担当者エライ迷惑・・・
今は複写機否、写メールで済むと言えば済むのだが、ダメなんだろうなぁ~
↑左側:「照会か督促」か?起業目論見書変更S06.10.30認可済みのメモ。
 
 ↑S09.07.19付 福島県に「督促」が
S08.08.26付の(照会文書の回答が無い)と督促したと思われる文書
↑督促状の嵐??
書類がでてこないぞ~!どうしたゴラァ~。と、その理由を記述して福島県に送付。
店主の見る限り
S10.07.09に照会し、返事がないのでS12.03、S12.06としきりに「督促」する
多分、福島交通の工事着手についてやる気の無さを「情報入手」している上で福島県に早く「廃止出させろよ」の督促だろうと思う
=======
↑右:S10.07.09(照会)
 工事施工認可書は既に(福島県)で受理審査中 の筈だが、その後長年月を経過したる今日、未だに進達無いのは如何の次第、至急回答をよこしなはれ!と穏やかっぽく照会・・・。
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↑中央:S12.03.11 (督促その1)
監督者福島県に「特許後、既に9箇年を経過しその後の交通状況の変化著しきたるを以て、会社においては敷設の意思なきと思われる。ついては『とくと』会社の意向を聴取し、もし敷設の意思無きに於いては工事認可書を取り下げるか起業廃止の書類を出させろ~」と早く返事をしろ!と督促で攻めを
=====
↑左:S12.06.23(督促その2)

督促したのに書類がコネエじゃないかぁ~と、至急の何らかの書類よこせや~。と怒る
※税金なら2度目になっても返事が無ければ、預金調べて早速差し押さえじゃ~。
=====遂に起業廃止申請=====
最右:再三の照会、督促に白旗?の福島県、福島交通をせっついて?
県知事の進達 S12.07.12付※県庁のタイプライター「二」がかすれて「一」に見える
近時自動車交通の発達に伴って本区間の起業の必要無く、福島交通の下記の書類添付して、福島交通から廃止許可願いが申請されたので、現今の交通状況ではもっともなことで廃止はやむを得ないとお国へ「進達」
中右:福島交通起業廃止許可願い S12.06.30付
会社は旅客及び貨物の運輸営業を為す特許及び工事施工認可を受けたが、経済界の変動並びに運輸機関の変遷等別紙の如き理由書び如き事情に立ち至り、起業廃止の許可を申請
中左:理由書
今更申し上げるまでも無く当地方は昭和4年以来財界恐慌の波を受け地方銀行の閉鎖実に6行に及び加えると農作物価の低落、冷害、凶作等相次ぎ、当社の影響はすこぶる大で株式配当はやむなく無配になる状況
さらに昭和4年の金解禁を景気として自動車の輸入価格は低廉と成りガソリン価格の引き下げと相まって一躍新興交通機関として出現し、交通運輸事業は一大転換を余儀なくされている
弊社はしかる状況を察し、既設電車沿線の交通網を確立し桑折線においては昭和6年6月10日に乗合自動車の運転認可を得、鉄道省の御方針に従ひ、昭和9年3月7日ミツワ自動車の路線を譲受スル等改善に改善を加え地方の満足を得て今日に及びたる次第に御座候(←なんか今川焼の・・・)
乗合自動車の運賃、輸送力に於いて地方鉄道または軌道に接近しつつある情勢にあって、この情勢で多額の資金を要する軌道の建設は当該地方の交通量からして、一考を要する問題にして現在の乗合い自動車を以てすることが適当なり。との結論を得て本願(廃止)に及びたる次第に御座候(粒あんがぁ~いいなぁ~)
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と長岡~桑折間の特許取得から書類上いろいろと動いただけで約10年、遂に沿線首長の連名悲願は達せられずに幕が下りてしまった 
その時点では東北本線の対福島の旅客列車の問題も東線とバスのフィーダー輸送で事が足りてしまっていたのだろう
特許状の返還 
やっと、書類が整ったのでお国の「廃線事務処理」が進む
特許状が返還されて桑折町に軌道線が走らんとする歴史の一ページは終焉を迎えた
福島交通の軌道線はこれ以降新たな路線を敷設することは無かった※柳町線も同様
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