蒲原鉄道 車両 その3
撮影:1974(S49).02
2025.01.15UP 
2025.01.18(補訂) Ver1.02
モハ21形 
蒲原鉄道モハ21、デ101
 ↑モハ21形は雪中のこの写真しか無い
木造車体に前面と側面窓上部に薄鉄板を貼って補強しただけ。窓枠、客ドアの窓枠上部のアールが美しい
連結器部分の台枠延長?の無骨さは素晴らしいが、自連の形状があまり見慣れない逸品  
[来歴]
■各務原鉄道がT15.01.21に部分開業する前の大正14年に竣工した木造車 K1-BE形8両。日本車輌製
 各務原鐵道(美濃電の系列)→名岐鉄道に吸収合併(各務原線)→名古屋鉄道になりモ450形451~458となった
 蒲原鉄道に供出され車号は下記の通り疑義があるが、蒲原鉄道入りしたモ450形一両は戦災で焼失した車体
 を作り直した際、5枚の前面窓を3枚に、客扉の戸袋丸窓は他の窓と同じく上部に大きなカーブを描いた窓枠
 の新しい車体形状にとなった。
 ※店主が確認できる範囲では、窓上部に大きなアールを付けた形態は蒲原の車両のみである

■蒲原鉄道の車号と台車の変遷
 S22 入線時の形式車号はデ101号
 S27.10 入線時からの台車をボールドウィンタイプ78-25Aを竣工のモハ31号に転用
 代わりに開業
時からの木造車「デ」1号のブリル76E-1(日車複製品)を装着して車号をモハ21とした
 ※デ1は廃車され倉庫となる


■蒲原鐵道に入籍した車号について
 1947年(S22)デ101号として入線したが店主として
名鉄の元車号について次の疑義が生じました
下記の対比によって店主は蒲原鉄道に入籍した???であります
※その後の取り消し部分は下記の服部重敬様のご教示によります
(1-1) 455号説:鉄道図書刊行会  蒲原鐵道 瀬古竜雄様 私鉄車両巡り 第2分冊,
(1-2) 455号説:朝日新聞社 世界の鉄道'75 車両諸元表
(1-3) 455号説は無い:鉄道ピクトリアルNo264 特集 名古屋鉄道 過去の車両[2]
    福島隆雄様1955年撮影モ450形モ455が掲載されている。
解説は中川浩一様
    450形の改番があったら??だが
   ※撮影された車両は鉄板覆、前面3枚化だが、
客窓上部のRは夏期全開?で不明  
(2-1) 458号 蒲原鉄道説:鉄道ピクトリアル 私鉄高速電車発達史 供出車両一覧 中川浩一様 供出車両一覧
(2-2) 458号 尾道鉄道説:鉄道ピクトリアル アーカイブセレクション21 私鉄車両めぐり(1963.05-No145)
     和久田康夫様著 名鉄から尾道鉄道入りしても車番は久しく458のままであった。と記載あり
(3) 店主出版物確認 名鉄在籍車
      454号 朝日新聞社 世界の鉄道'65 P55
  ※車体外販を鉄板更新、前面3枚化、窓は夏期全開のため上部の「R」不明
   455号 上記(1-3)
(4) 店主未確認車
  モ452、453、456号、457号・・・のどれかが蒲原鉄道に供出されたのではあるまいか
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■ ご教示頂きました
 名古屋レールアーカイブス理事長 服部重敬 様によれば
 戦災を受けたのは
 451,452,455,458号の4両
 譲渡されたのは次の3両

 451号→山形交通(三山線)モハ106→1975(S50.11)蒲原鉄道モハ91
 455号→蒲原鉄道デ101
 458号→尾道鉄道458→1952(S27)鋼体化→デキ45に改称
 ※戦災を受けた車体を整備、供出されたから、整備の度合いによって「得」したのか?「損」なのか

 譲渡で抜けた車両番号に
 452号→455号
 456号→451号
 457号→452号
 を充てて、残存車の番号を
 451(旧456),452(旧457),453,454,455(旧452)
 に番号を振って揃えた由
 よって
蒲原に転出した車両は初代455号として、名鉄残存の455は2代目ということになりました。
※上記のコメント中、
 鉄道ピクトリアル
No264 特集 名古屋鉄道 過去の車両[2]に掲載されている福島隆雄様1955年撮影モ450形 モ455は改番後の写真でした
 服部重敬様に厚く御礼申し上げます
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 ■名古屋鉄道の供出車両について
 私鉄高速電車発達史 Ⅳ  中川浩一様著 中小私鉄へのカンフル注射”供出車両” より原文を部分引用 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 運輸省は63形の割当をうけた私鉄に対してある程度の在来車の放出を指示し、見返り車両として特定の中小私鉄に譲渡することを求めたのである。
これが一般に”車両供出”と称されている現象で、該当車両は”供出車”とよばれている。
【名鉄】
合計12両を算えた供出車は全て600V用であり、また直接制御器装備車であった。
しかも、それまで600V区間であった西部線(旧名妓鉄道ブロック)の中で、主要区間は1500V電化が決定(23年5月12日実施)し、600V直接制御器付車両の使用範囲は大幅に狭くなるのが必定であったから、結果からいえば、名鉄は廃物を恩を売りながらたくみにさばいてしまったことになるわけである。
またその全てが明治・大正生れの木製車であるため、譲渡先でもその大半は10年以内に廃車或いは鋼体化という運命に逢着することになった。
とくに単車は全くの老朽車であったから、車両事情に多少なりとも余裕を生じると、たちまちもてあまされ、長いものでも5年の寿命しか保ち得なかったのである。※1
これを受入れ側からみれば、真に不利な買物をしたというほかない。
これに対して、6両のボギー車※2は、受入れ側が吹けばとぶような小私鉄であり、単行運転か、1~2両の付随車をけん引する程度であったから、在来車に位して活躍を続けることができたのである。
※1 両数換算
絶対数の12両をそのまま取るか単車は2両をボギー一両分として換算するかは取り扱い上で問題となるところであるこの換算法は関東大震災による被災客車び復旧にあたって採用された前例がある(引用終了)
※2 モ101~103、モ451形のうち3両(山交三山、蒲原、尾道)を指している(店主補訂) --------------------------------------------------------------------------------------------------------------■その後
入線後一定の活躍をしていたが、木造車で一部鉄板張りの車体が老朽化し、さらに不燃化対策上、1958(S33)のモハ61号以降の車両も入線したため、予備車→廃車となった

[モハ21号の解体] 1979(S54)01.30付
参考資料:
鉄道図書刊行会 日本民営鉄道車両形式図集 上編、私鉄車両めぐり特輯(1) 蒲原鉄道 瀬古竜雄様著、(2)庄内交通 金沢二郎様著、電気車研究会 日本の電気機関車
鉄道ピクトリアルNo636 弘南鉄道 高嶋修一様著
朝日新聞社 世界の鉄道'69,'74,'75
ネコパブリシング 新 消えた轍 上信越5 寺田裕一様著
日本車両鉄道同好部・鉄道史資料保存会編 日車の車両史 戦前私鉄(上)
※ネット閲覧は「鉄道CAD製作所」から左上「新ぜかまし文庫」クリック→中程の2021年公開分に収録有
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