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【京浜電鉄歴史】
電 動 ボ ギ ー 貨 車 (その1)
2023.07.19 Ver1.03 |
無蓋電動(ボギー)貨車 1001、1002号 |
京浜電鉄には本形式以前に申請認可日の基準で
大正02年04月22日 四輪電動貨車1両
大正03年04月14日 四輪電動貨車1両
大正03年10月12日 四輪電動貨車1両
の3両が単台車の無蓋電動貨車として在籍していた。
工事量の増加と貨物営業開始を見込んでT09.06.28付京申電115号で
ボギー電動無蓋貨車 2両 7.5t積 木造車 を
京浜電鉄初のボギー式の無蓋電動貨車1001、1002号として2両の認可申請した
T09.12.11付 監1164号で認可された |
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以上の仕様としてまずは申請、
(1)鉄道省はT09.08.19付 監963号で「照会」を神奈川県知事(本社川崎のため)に送付
(2)神奈川県は京浜電鉄に回答せよ。と書類を送付
(3)京浜電鉄はT09.10.14付京申電192号で神奈川県と東京府に照会の回答を「追申書」として送付
・電動機の種類
直流4局直列巻き電動機(米国GE会社製GE57-A形)電圧550「ヴォルト」
・制御器の箇数
前後各1ケ宛
・集電装置の種類及び箇数
単線電桿式(ホイール6吋、ポール13呎、ベースUS13型中央に1箇)
・手用制動装置の構造及び力算を別紙の通り変更(別紙ナシ)
(4)神奈川県知事はT09.10.23付 申警保電収6号で鉄道省監督局長宛に別紙のように回答があったと文書を送付し、鉄道省はそれを審査照合して認可書を作成している |
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=====貨車構造方法書====== |
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■貨車の形式
別紙図面に示すが(ナシ)如く無蓋「ボギー」式貨車にして米国「ペックハム」会社製14B3形車台(台車)に搭載するものとす
■重要寸法
・車体の全長(「バッファー」末端より末端まで)40呎
・車体の長さ(運転台前面羽目より羽目まで)36呎11吋1/2
・車体の幅(アオリ板(荷物囲)外面より外面まで)6呎6吋
・車体の最大幅 7呎6吋
・貨物積載室の長さ 30呎
・貨物積載室の幅 6呎1吋1/2
・貨物積載室の高さ(アオリ)1呎6吋1/4
・運転台乗務員昇降口幅 2呎9吋
・同 上 高 さ 5呎11吋
・ボルスター距離 22呎
■使用材料~略 ※上記写真を拡大して読破願います
■中央鳥居骨組み(電桿式聚電装置取付台)
中央鳥居骨組みは全て良質の欅材を使用し各柱は「サイドシル」外側に「ボールナット」を以て締結し金物を用いて堅牢に取付、横木は枘嵌(ほぞはめ)を以て柱に取り付け適当なる金物を以て締め付けるモノトス
■ベスチュビュール骨組み~運転台屋根骨組み
※中央鳥居とほぼ同じなので、子細は上記写真を拡大して読破願います |
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■床~屋根
貨物を置く床は米松を縦貼りして木ネジで止める方法※1003~以降は鉄板敷き
■窓
「ベスチュビュール」の前面窓は3カ所と総てガラス戸を入れ中央部のもののみ昇降するものとす※電桿式聚電装置操作のため
硝子戸枠は柾目の欅(ケヤキ)材を使用し総て四方枘差し楔止め(ほぞさしくさびどめ)とし硝子板は厚さ8分の1吋の気泡狂ひなき品を使用ス。而して昇降硝子戸を下(げる)には護謨(ゴム)を取付けたる受け木を用ひ、その降下を緩慢ナラシムルモノトス
~略~
ベスチュビュール中央窓上部に方向幕を取付クル装置を施す
各運転台には電気信号及び「ボタン」を装置し両運転台を連絡スルモノトス
運転台前面には当社ボギー車第30号の通りなるバッファーを装置す
■塗工
~略※上記写真を拡大して読破願います |
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■車台
(1) 塗工 略
(2) 車台(台車)
従来使用中のボギー車第1号の通り米国「ペックハム」会社製(14-B-3)形トス
(3) 信号装置
前後運転手台に信号電鈴及び押「ボタン」取付ケ電気を以て連絡スルモノトス
(4) 救助器
従来使用中のボギー車第1号の通りトス
(5) 電動機
50馬力2個を各車台に1個宛装置ス
(6) 制動装置
平常は手用制動装置を使用し電気制動装置を予備トス※手用制動装置の構造及び力算、及電気制動作用は別紙図面の通りトス(図面ナシ)
(7) 電線接続図
別紙図面の通りトス(図面ナシ)
(8) 車両重量
12 噸半
(9) 総重量
20 噸
(10) 積載貨物
7 噸半
(11) 車両数
2両
これに照会文書で回答した ・電動機の種類
直流4局直列巻き電動機(米国GE会社製GE57-A形)電圧550「ヴォルト」
・制御器の箇数
前後各1ケ宛
・集電装置の種類及び箇数
単線電桿式(ホイール6吋、ポール13呎、ベースUS13型中央に1箇)
・手用制動装置の構造及び力算を別紙の通り変更(別紙ナシ)
が書類に加わって認可書類の完成となる
【制動装置について】
2年後に申請された1003号以降は常用として圧縮空気制動装置と記載してあるので、早晩、同様に改造されたと考えるべきだろうか。 しかし・・・その気配が感じられない
ボギー客車の例としては、明治44年に26号~28号は圧縮空気制動機構で認可されている。
約10年後の1001,1002号は大正9年の申請かつ手動制動装置常用では、貨物電車を安価に作りたかったのかとしか考えられないが?
お役所は過去から単車の申請時に「手用制動機」の効き具合にこだわっていたが、本来、この時代では何故「圧搾空気制動装置」が無い理由を照会すべきなのにしていない。怠慢も甚だしい
その後、圧搾空気制動装置の付加改造があったのか調査不足だが、
【廃車届】
S12.11.24付京丑電518で1001、1002は廃車届が出された。
理由として、
(1) 圧搾空気ブレーキの改造が無いとすれば、その「ため」?
(2) 貨物を置く床が米松を敷いているだけなので損傷しやすかった「ため」?※1003~鉄板敷き
(3) 中央鳥居が欅の木製でホイストが取り付けられなかった&寿命?「ため」?
※1003号以降は「鉄鋼組立」になっている。
名称は「中央鳥居」から「●●」に変わっている詳細は1003号のページで(苦笑)
(4) 運転台背後に窓が無く、素通しだった「ため」?1003号以降申請は「窓」付
これらの「ため」理由により1003号~より早く廃車になったのか??を疑う店主 |
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↑1003号の改パン申請図をこねくり回した想像図です。
大正10年6月竣工 ボギー電動無蓋貨車 2両 7.5t積 木造車 1001、1002号 製造所未調査 |
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※店名略称:フィルムスキャンs、通称店名:鈴木写真変電所
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