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【京浜電鉄歴史】
ボ ギ ー 無 蓋 電 動 貨 車(その2)
2023.07.24 Ver 1.81
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無蓋電動(ボギー)貨車 1003~1005,1006号増備車 |
T09.12.11付 監1164号で認可された無蓋貨物電動車1001,1002号に続いて
T11.03.30付 京戌電70号で1003号~1005号の3両、そして1ヶ月も経過しない
T11.04.20付 京戌電91号で1006号1両の認可申請を行った。
※1006号の設計に手間取って遅れて申請した事も考えられる。
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1003~5と1006の相違点を申請書で詳しく見ませう |
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1006号 車体構造方法書↓ |
1003~1005号 車体構造方法書↓ |
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↑双方の車体構造方法書に鉄道省「照会」の回答内容を書き込んでいる
(1) 「全長四十呎」の数字右側に「一」を加筆するだけの考えられない訂正
(2) 「車体最大高」の項目を加えさせられて、行間に加筆(これはよくある)
1003号~、1006号の微妙な差異
(1)車体の長さ 1006号は1003号~に比較して+4吋
(2)車体の最大幅 1006号は1003号~に比較して-6吋
(3) 車体の高さ 1006号は項目建てをしているが1003号は項目が無い。
と言うことは鉄道省として「車体の高さ」項目はあっても無くても良くて、「車体最大高」の項目を付け加えさせたかった? パンタ折り畳み高さに脈々と通じているようだ
以下、上に1003、下に1006の方法書を並べます。
判らなくなったら左端の号車番号を見てください
基本的には1003号の文書を丸コピしているのですが、筆記者も違いますし、微妙な差異点も
1003号の人はペン書きなので3枚同じモノを作った?1006号の人はカーボン紙で3枚書き。手首痛めたのでは?なんて言うことはどうでも良いことです・・・・・・。 |
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■使用材料[共通]
項目中に「中央架構」、「荷物積載室床板」は総て軟鋼とする。が1001.02号のグレードアップ |
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↑↓出てきました1001号の「中央鳥居」名称改め1003号からは「中央架構」
まぁ、鳥居という名称を使うこと自体に違和感アリアリだったが、その時点では鉄道省は文言の訂正をさせていない。東京市電等の名称はどうだったのだろう??そんな名称を使用??
そんなことより
1003号の中央架構構造は鉄製に変更
(1) 厚さ3/8吋,幅3吋の「L形」鋼を相向かわせる
(2) 3/8吋×2吋の平鉄を(1)に連結させる
(3) 側土台に力金で堅牢に締結する
という鋼材製の「中央鳥居」改め「中央架構」を作成して電桿式聚電装置台にしている
剛性の向上と長寿化に繋がったようだ。
ところが
1006号の中央架構は集電装置台以外の役割が
(1) 厚さ3/8吋、幅3吋1/2の「L形」鉄を向かい合わせる
(2) 1/4吋(厚)鉄板を厚さ1/4吋,幅2吋の平鉄で上部を締結した鉄塔を作る(図なし)
(3) 中央部横根太に頑丈に鋲で結合
(4) 厚さ3/8吋,幅2吋1/2の「L形」鉄のアーム及びステーを鉄塔上部に締結
(5) アームの両端に厚さ3/8吋,幅3吋高さ6吋の「コ形」鉄(文章ではコは逆字表現)を取付
(6) 厚さ1/2吋,幅5吋,高さ8吋の「I形」ビームを中央に渡す
(7) (6)にクレーン装置を取付、貨物の上下に便する
という現在風には「中央架構にホイスト」を付き貨車
竣工図を見る限り、中央2本柱でTOPに車幅一杯に種々工作物が載って、編み笠をかぶったヤジロベエ的な若干不安定な形状。
吊上耐荷重の記載はありませんが、荷捌の機械補助を図った画期的な貨車が誕生?? |
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■貨物積載の床
[共通] 1/4吋厚の鉄板を張るが、開閉可能な電動機点検蓋も取り付ける
1006には側板が無い。 側板があると邪魔な貨物を運ぶ構造に対応させた
■運転台の構造は
1003~が左右開放式のベスチュビュール式運転台 正面窓は3枚、後部中央に1枚
正面中央と後部は昇降可能
1006は荷台方に出入り口を取り付けた密閉式狭小運転台 前面窓は中央に1枚の省資源
しかし窓1枚デザインの運転台は左右の幅が狭く、運転士1人で一杯のような状況
まぁ、このSDGs?の狭小運転室が左右出入口付きになって、デト20,30形に引き継がれる・
しかし、この時代、この形は評判が悪かったのか1006号だけになっている。
多分、工事の場合は要員も乗車するだろうから荷台で我慢・・・。雨天、寒冷時はヤバイ |
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↑↓このページの申請文は各所で「1001のとおり」となってます。
「塗工」部分では番号文字を入れる工程を詳述 |
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[共通]↑↓
■制御装置(俗に言うノッチ)
東洋電機製造 DB1-K14 とある。推測だが低圧回路もなさそうなので架線電圧をそのまま取り込んでコントローラーでバリバリツナギ変え。路面電車では普通の方法だった。
■車両自重、総重量、積載重量が同じ
中央架構構造の差異、貨物室側板の有無等結構重量変化がありそうだが、作成者は同じでかまわへんと。確信犯のよう |
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照会による訂正 |
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照会と回答 |
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↑大正11年6月28日にまとめて認可 右は具体的な訂正 |
1003号~1005号の竣工図
※改パン申請時の図を改変 |
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↑1003~1005,1010 |
■認可は1001号と同一として申請したが、
・全長:1001号が40呎で認可されたのに対して、省が緩衝器の長サ含みでは41呎になるとして、訂正を要求し、図面は全長41呎(12,497mm)となった
・車体長:36呎11吋1/2(11,582mm)
■電桿式聚電装置※は車体中央アーチ状のやぐらにパンタと同じ中心に装備
※電桿式聚電装置内容:ホイール6吋,ポール12呎,ベースUS13形
運転方向を変える度に電桿式聚電装置を逆方向に引き回していた
■台車はペックハム14B3
■電動機はGE57A 50馬力(550V)1個/1台車 計2個
■制動装置は「圧縮空気制動装置」を常用、手動制動、電気制動装置を予備とする
■車両重量 12噸半
■総重量 20噸
■積載貨物 7噸半
■運転台全面に救命器取付用金具を設備
■緩衝器を取付
リンク式の鎖連結器は装備されていない
■運転台上部に方向幕を取り付けられる窓を設置
■運転台横は吹きさらしのベスチュビュール式
中央の窓はポール操作の関係で昇降可能
正面の風避けても渦巻く走行風、横風は素通し・・・。
当時の労働環境の過酷さが・・・。
今は乗務員扉も付いて密室化されているが、基本はベスチュビュール式運転台に分類されるのだろうか? |
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■中央架構構造は図面を見る限り中央から2本の支柱で構成
このまま竣工していたら、走行中の中央架構(支柱)のブレは相当なものでは。
電桿式聚電装置だった時代は、ほぼ関係無く架線に追随したと思われるが、パンタになって??
■荷物囲い板
長尺物対応なのだろうか囲い板が無い荷室
■運転台
極小さくなり、後部から出入扉内側開き。出入り困難
後年製造のデト20,30の先輩格として初登場。これは横に扉が付いたが・・・。
木造だから、強風の時などは、小さな囲いがすっ飛ばされる怖さがあるような・・・。 |
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※店名略称:フィルムスキャンs、通称店名:鈴木写真変電所
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